気の弱いバス
長女のリハビリ帰りのバス。
リハの病院がたまたま私が通っていた大学のほぼ目の前で、だいたい15、6年ぶりに同じ場所にほぼ毎週きている。半年以上は通ってきているか。
それで過去の知り合いに会うかと言うと、これが全く会わない。
卒業してしばらくこの大学の職員もしたと言うのに会わない。
しかも親戚が大学図書館で働いてるらしいのに一度もあったことがない。
私自身の乱視が進んで人の顔が判別しにくいのもあるが、基本的に土日に大学に来る教員、職員は少ない。
ただ学生っぽい人のバスの乗り降りは結構あり、近くの座席の学生さんの会話が聞こえてきて自分の学生時代を重ねて感傷的になったしまうこともたまにある。
そんな日々で昔と変わったな、と思うのは学生と思われる人の中の会話に韓国語、中国語が多くなっている事だ。
今日の帰りのバス停は学生さんの数が多く、立つ人もいて満員に近い状態で発車した。
中には中国語を話す若者達4、5人もいたりした。
ここのバスのシステムは
「後ろのドアから入って、出るときに前から料金を払って出る」
と言うもの。
都内のバスは前乗り前払いだったり後ろ乗り前払いだったり、色々あって難しい。
さておき、後ろから乗車し、発車したバスは進んでいき、途中のあるバス停で乗る人がいたのでバスは止まった。
その時、その中国語を話す若者達が後ろの入り口からどどっと降りたのだった。
バスに残った多くの人が「…?」と降りた彼らを見ていたし、バスの運転士さんもまた乗るんかな、的な塩梅でドアをしばらく開けていた。
でもその若者達は中国語で楽しく会話してて、何にも気付いていない様子。
でも料金を払ってない。
運転士さんかドアの近くにいる人が、なんか言った方がいいんじゃ…?の空気が何十秒か流れる気まずい車内。
ゆっくりのスピードでドアを開けながら歩く若者達をそろそろと追いかけるバス。
いや運転士さんマイクでなんか言って…!
言わないんなら私なんか言おうかな?
いやでも日本語わかるんかな?
英語?
英語でなんて言う?
Exit is there…とか?いやなんかちゃうな?
料金払うのあっちですよ〜って言えばいいんだよね、
いやでも…万が一なんか別のシステムでこの若者達はお金すでに払ってる…?いやそんな事はないか?
とか多分みんながそう思って若者達と運転士をチラ見している中、とうとうバスはドアを閉めて発車した。
若者達の楽しそうな笑顔を横目に見ながら、私は思った。
このバスみんな、気がよわ〜